2016年11月13日

~幻の女性大統領~ (2016/11/13号)

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hare03 幻の女性アメリカ合衆国大統領。
それは、フロレンティナ・ケイン。

えっ!?
ヒラリー・クリントンじゃないの!?
うふふ…、確かに今のタイミングだと、そう思っちゃいますよね~(^-^)
今週行われた、アメリカ合衆国大統領選挙の一般投票。
民主党 ヒラリー・クリントン氏は、得票数で上回りながらも選挙人の獲得数が及ばず、アメリカ初の女性大統領誕生は文字通り幻となりました。
では、うぷの言う、幻の女性大統領フロレンティナ・ケインとは?

実はうぷの愛読書に、アメリカ初の女性大統領になる女性を描いた小説があり、その女性がフロレンティナ・ケインです。
ヒラリー・クリントンとフロレンティナ・ケイン…。
今回は、アメリカ初の女性大統領を目指したこのふたりの女性のちょっと不思議な因縁と、大好きなこの小説について、うぷの話を聞いて下さいね。

hare03 その小説は、イギリスの作家、ジェフリー・アーチャー氏の『ロスノフスキ家の娘』。
第二次世界大戦の前頃から現代にいたるまでを背景に、ポーランドからの移民2世で、アメリカ最大のホテル・チェーンの一人娘に生まれたフロレンティナが、やがてアメリカ初の女性大統領となるその日までを描いた小説です。
「オイオイ、あっという間にでネタバレかよ!」と思った方、安心して下さい。
この小説は、結末の落としどころではなく、ストーリー展開の妙に醍醐味があるのです。
だから、結末は教えても、あらすじは教えてあげません。

うぷは、この小説の中に心に残る事が2つあります。
ひとつは、4歳から大学へ入学するまでフロレンティナを指導する家庭教師、ミス・トレッドゴールドの教えです。
やがて父の跡を継ぎ人の上に立つ事になるフロレンティナを、時に厳しく、そして深い愛情で教え導いていく…。その教えのいくつかは小説を超えてうぷの心にも深く刻まれ、今もうぷの毎日に強く影響しています。
もちろん、それがどんな事なのかは教えてあげません。

そしてもうひとつは、この小説の中で交わされた、6歳のフロレンティナとミス・トレッドゴールドとの会話。

 「ポーランド人でもアメリカ合衆国の大統領になれると思う?」
 「なれますとも、アメリカ人が自分たちの偏見を克服できればね」
 「じゃ、カトリック教徒はどう?」
 「それはわたしが生きているあいだにさえ問題にならなくなるわ」
 「それじゃ女性は?」 
 「それはもう少し時間がかかるかもしれないわね」

幻の女性大統領①“ポーランド人”というくくりではありませんが、人種の偏見を超え、アフリカ系アメリカ人であるバラク・オバマ氏が大統領となった日、うぷはこの会話を思い出しとても感動ました。
そして今回の選挙。
ミス・トレッドゴールドが「もう少し時間がかかるかもしれないわね」と語った女性大統領誕生。
それは目前まで迫り、そして幻となりました。
「時間がかかるかもしれない」その説明は小説の中にはなく、うぷもそれについて深く考えた事はありません。
でも、この一連の選挙の中で、はからずもその理由のひとつを知りました。
それは「ガラスの天井」。
「ガラスの天井」とは、組織内で女性の昇進や役職登用などのキャリアアップを阻む、見えないけれども打ち破れない障壁の事。
小説の中で、フロレンティナもまた、天井だけでなく四方までも強固なガラスで囲まれ、“男の世界で生きのびるための戦い”を余儀なくされました。
一般投票翌日のヒラリー氏の敗北宣言のスピーチは、彼女の戦いの軌跡を物語り深く心に響くものでしたが、とりわけ強く心に残った一節があります。
「私たちはいまだに、もっとも高くて硬い『ガラス天井』を打ち破る事ができませんでした。それは認めるしかありません。でも、いつかきっと誰かが実現してくれる事でしょう。その時期が、私たちが考えるよりも 早く訪れてくれることを願います」
小説『ロスノフスキ家の娘』が発表されたのは1983年、今から33年前です。
作家J・アーチャー氏が、フロレンティナに託した「女性大統領」というアメリカン・ドリームは、この歳月を経てもなお実現に至りませんでした。

ヒラリー・クリントンとフロレンティナ・ケイン…。
現実と小説の枠を超えて、ふたりには不思議な共通点があります。
民主党代表として出馬したヒラリー・クリントン氏。
小説の中でフロレンティナも、民主党代表として描かれています。
また、ヒラリー・クリントン氏の出馬は今回が2度目でしたが、フロレンティナも同じく2度大統領となるチャンスに挑み、そして2度とも敗れています。(じゃあ、どうやって大統領になったのか? もちろんそれも教えてあげません。)
そして、ふたりともアメリカ合衆国大統領を目指し、果てしなく高くて硬い「ガラスの天井」を、たゆまず叩き続けた女性でした…。
幻の女性大統領②
そして、もうひとつ…。
この小説の中でフロレンティナが大統領に就任するのは1997年頃、第42代大統領あたりと思われますが、このタイミングで実際にアメリカ大統領だったのが、なんと夫のビル・クリントン氏。
これには、ちょっと不思議な因縁のようなものを感じます……。

hare03 第45代アメリカ大統領が正式に任命されるのは、来年1月6日です。
「時事ネタでもある事ですし、この本読んでみてはいかがですか?」…と、お薦めしたかったのですが、今日、念のため本屋さんへ行って確認したところ、『ロスノフスキ家の娘』はすでに絶版となっていました<(_ _)>
読んでみたいと思った方は、BOOK-OFFへ行くか、Amazonで購入して下さいf(^。^;;

『ロスノフスキ家の娘』は、実は、今で言うスピンオフ作品。
本編は、J・アーチャー氏の代表作のひとつである『ケインとアベル』という作品です。
フロレンティナ夫妻の、それぞれの父を描いた長編小説で、この小説の後半と『ロスノフスキ家の娘』の前半がリンクします。
でも本編を読んでいなくても、一人の女性の半生を丁寧に描いた、独立した作品として充分楽しめますよ(^-^)
さらに、大統領暗殺計画を阻止する若きFBI捜査官の活躍を描いたサスペンス小説『大統領に知らせますか?』にも、命を狙われる大統領として描かれていています。
…FBI…!?
フロレンティナはFBIに命を救われますが、ヒラリー氏は選挙戦終盤のFBIの再捜査が命取りだったような…(~_~;;


ヒラリー氏が「いつかきっと誰かが実現してくれる事でしょう。」と語った、アメリカ合衆国初の女性大統領…。
誰よりもその可能性を秘めていた女性の、挑戦と敗北を見守ったこの日々を、うぷはきっといつまでも忘れません…。


 それでは
    また来週~(^-^)/~ 


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この記事へのコメント
❤ おかかちゃん

いつもニコニコしながらカットしてくれるおかかちゃん。
でも、鏡越しに見ていると、時々、鋭く真剣な眼差しでハサミを入れている時があります。
そのプロの眼差し、とってもかっこよいです✨

うぷは漫画も大好きなんですよ~♪
おかかちゃんとは、ちーっとばっかし世代が違うけど(^。^;;
でも漫画が好きなら、きっと読書も楽しめると思いますよ。
この秋は大人っぽく、スタバで読書を~(o^-')b
Posted by うぷうぷ at 2016年11月15日 23:42
❤ ぐーたら主婦?!さん

『ロスノフスキ家の娘』、ぜひぜひ読んでみて下さい!
Amazonで出品されてますよ(^_<)
本体価格は ¥1 です(^。^;
でも13日にチェックした時より、在庫が減ってるみたい。
上下巻セットは売り切れてました(・_・;;
またまた、急いで~(^-^;;
Posted by うぷうぷ at 2016年11月15日 23:40
こんにちは!ʕʘ‿ʘʔ
うぷさん難しそうな本を読まれてるんですね!なんだかかっこよいです✨
私は本を開くと眠る病に侵されていて…(¬_¬)でもそろそろ漫画より本を読みたいなって思ってます✨大人っぽく(笑)
今度おすすめな読みやすい本を教えてくださいっ\(^^)/
Posted by おかか at 2016年11月14日 21:31
いいわぁ…(。>д<)
今回の大統領選テレビにくぎ付けでしたもの!Σ(×_×;)!

本、読みたくなりました。
『カインとアベル』は読んでいたのですが、落とし穴がありましたねぇ…

どこかで探して読みますね。
Posted by ぐーたら主婦?! at 2016年11月14日 06:44
 
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